【エントリーNo.092】
荒谷 俊恵
作品タイトル : ひとりじゃないよ。
【一人じゃない】
誰しも一度は見たり聞いたりしたことのあるフレーズではないだろうか。
もちろんわたしもそうだ。
このフレーズは
いじめ相談案内やトイレの張り紙に、電光掲示板で、また教育相談番組の背景などで目にしたことがある
誰かに言われたことがあるだろうか?
言ったことがあるだろうか?
よく思い出せない
このフレーズを見たときに
過去のわたしはどう感じていたか
「一人じゃない」
わたしはその世界を羨望していた
でもそれとは裏腹に、心の奥深いところでそんな世界があるはずがないとも信じていた
わたしの生い立ちを振り返ってみる
わたしは母と父と妹とわたしの四人で暮らしていた
父は仕事でほぼ不在だった
母は父が不在であることを、娘の私たちには「お父さんは仕事だから」不在であることを正当化するかのように言い聞かせていた
でも母はいつも寂しげだった
そして家庭を顧ない父に怒りも持っていた
子供のわたしは母のそんな様子を見て、
父のせいで母は辛い思いをしている。だから、ただでさえ辛い母にこれ以上辛い思いをさせてはいけないと、誤解をしていった
いつも寂しそうで周期的に怒りを爆発させる母。
そして父は不在
わたしは一見大きな問題もなさそうに見えるその家庭の中で、自分自身の居場所を感じられなかった
子供らしく甘えることや心を開くことができなかった
四つ下の妹がいたけれど
自由に立ち回る妹を見て、より一層わたしはちゃんとしなければ。と自分で自分を追い込んだ
父が不在の中妹と母はよく話をしていた
でもわたしはその中で楽しそうに話す2人の中で居づらさを感じて、すぐに自分の部屋に逃げ込こんだ
そして学び始めて知った。わたしは、
過ごしてきた家庭の中で、あたたかいコミュニケーションを感じられなかった。ということ。
いつも心の深いところで孤独だった
そう思い込んだのはわたしだったのだけれど。
この孤独な世界にいたわたしは
どうせ誰もわかってくれない
こう、決めていた
心の奥深いところにある暗い小部屋のような場所。ここに事あるごとに入り込んだ。
そうしていると、楽なこともあった
でも、癒すと決めたわたしはその心を閉ざした自分に気づくことができた。そしてその暗い小部屋にいるのは本当の望みではなかった
その閉じこもった自分に寄り添うという、初めての体験をした
キャラクトロジー心理学協会のプロセスグループという安心安全な場所でのワークで、深く孤独だった自分を感じながら、他者に寄り添ってもらう体験はとてもあたたかくて、ハートが震えた。涙が溢れ止まらなかった。
「1人じゃない」世界を知るとても大きな体験になった
「心を開きたい」
「愛したい」
「あたたかい世界をみたい」
「光を見たい」
本当の望みはこっちだった。
現在わたしはフリースクールで働いている。
先日女子高生が悩みを打ち明けてくれた。「どこにも居場所がない」という内容だった。
彼女の孤独な感じが痛いほどわかった。
なぜなら自分が体験してきたから。
長女という共通点もある。
話をしていると彼女の目から涙がとめどなくあふれてきた。
わたし自身が寄り添ってもらう体験をしたから、それがどれほど痛い場所なのか知ったから、わたしも彼女に寄り添うことができた
そして彼女が打ち明けてくれたからできた。
それができたことが、とても嬉しかった
思い浮かべると胸があたたかくなる大切な生徒。
一つ伝え忘れたことを次会った時に伝えたいと思っている。
「1人じゃないよ」って。
そしてまた彼女がどう感じたか聞いてみたいと思っている。そんなコミュニケーションの世界を知ったから。
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いつも不在な父と、そんな父を不満に思っている母、それを見てきた私は、夫婦もそんなものだと信じてきた。けれど、本当の自分でいながら家族とすごすという新しい体験もしている。子供の頃感じられなかった家庭で安心感を感じる体験を今、積み重ねている。
学び癒しの道を歩み初めて受け取ったギフトは数しれず
これからがまた、とても楽しみだ
このエピソードの中で、あなたは何によって癒されたと思いますか? : 美穂子先生、共に癒しの道を歩む仲間たち
【作品応募者について】
どんな職種・お仕事をされていますか? : フリースクールでのサポート業務 キャラクトロジー心理学ベーシックマスター