ハートインタッチアワード

【エントリーNo.120】森迫 泉「風のささやき」

ハートインタッチアワード 心のレスキュー大賞

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「こころのレスキュー大賞」は、心に寄り添った/寄り添ってもらったことで人生が変わった体験談を通して、真に心に寄り添うサポートとはどんなものかを多くの方に広く知ってもらうことを目的に設立した賞で、毎年10月に作品募集を開始、12月のHITキャラクトロジー心理学協会のイベント〈Heart in Touchアワード〉にて受賞作品が発表されます。
Heart in Touch Award 2023

【エントリーNo.120】

森迫 泉
作品タイトル : 風のささやき

誰しも極度の緊張状態や、がんばってもうまくいかない時、人生で崖っぷちに立たされているように感じる時があると思う。
そんな時、いつも私を救い励まし続けてくれた存在のことを綴りたいと思う。

一年前の冬のある日、雪のため広島から松山に移動した日のこと。雪が降ると、道路状況で当日遅刻するわけにはいかない状況だったので、前日から移動することが多かった。
前日からの移動は、時間の制約もあり、仕事の調整などで、私にはかなり困難を感じることで、何度も「何してるんだろう」と自分がわからなくなるような瞬間があった。

自分を癒すことがとても孤独に感じることや、終わりのない道に希望を描けない時もあった。

真に人とつながるには、本当の自分とつながることだと感じ、日々の中で様々なチャレンジやトライをしていたつもりだったけれど、うまくいかないと感じることが、その時の私には多かった。
今思えば、あの頃の私は、本当には、自分を生きれていなかった部分もあった。そのことに気づかず、自分を責めたり自分を見失いそうになっていた。

そんな、ある冬の日。
私は、夜遅くに松山に到着した。明るいより暗い方が落ち着くところがある私だけれど、冬の冷え込んだ空気の中1人で運転する道中は、時々切なさを感じる場面もあった。
それをできるだけ感じないようにしながら、淡々と運転して、目的地であるヒーリングセンターにたどり着いた。

冷たい空気の中、漆黒の空に三日月が浮かぶそんな海の風景の前に立ったとき「待って。」と声が聞こえた。
夜中で周りには誰もいない。街灯もついていない真っ暗な中で、腕がちぎれそうな荷物を両手に持った私は、その声に立ち止まった。
そして海を見渡すけれど、当然誰もいない。近くに誰かがいる気配もない。
その日はとても風が強い日で、全身が吹く風で冷たくなっていくのを感じながら、その場を離れられず、しばらく立ちつくしていた。
その次の瞬間、「おかえり。」と言う響きとともにさらに大きな風が私の体を通り抜けた。
何事かと思いながら、漆黒の中でその響きを感じていると、深いところから何かがこみ上げてきて、そのバイブレーションに身を委ねた途端、私は嗚咽してしまった。
どこからこんなに涙が出てくるのか、何かが悲しいわけでも、何かが辛いわけでもなく、ただただ内側の深い場所から止めどなく出てくるものがあった。
「本当にやりたかったことやってみよう。」
その言葉で後押しを受け取った私は、泣きながら内側で、あるひとつの夢をかなえる意図を立てた。
時間にしたら、ほんの数分の出来事だった。
とても大きな存在に包まれそして励まされるような感覚を受け取った。

本当の自分を取り戻す。切り捨ててしまった自分のエッセンスを生かしてゆく。ただそれだけの願いで立っていた自分がいたことを感じ、その先に叶えていきたい現実と夢があることを忘れていた。

その出来事で、私は自分のロンギングを思い出し、つまらないことで自分を責めていたことを手放すことができた。
海が、月が、そして風が、それらを連れ去ってくれたような感覚だった。
そんなところで立ち止まっているなよ、と自分を励ましながらそこからまたここまで歩んでこれたように思う。

その体験から、今年春、自分の小さな古典フラ教室をはじめた。ハワイのクム(先生)が、古典フラを最初に待ったのは緑の人たちだと話してくれたことがあった。
この地球上で、人類が誕生する前に、暗闇の中から生まれたのが音で、その音から響きが起き、風が生まれる。
その風に最初に舞ったのが、緑の植物の人たちだと。
私はその話を聞いた時にクムが言っていた、あなたの周りにこのことを伝えて下さい、と言われたことを現実に叶えようと思った。
それが大地の癒しになるんだと確信したから。

ロンギングと明確な意図を、優しく自分の中に感じながら、大切にひとつひとつ育ててきた場所。
ご縁があってメンバーとなった5人の仲間と、丁寧に時間を過ごす中で、本当に人とつながるということ、自分と繋がるということが、喜びとなり滋養となっていた。

自分が本当にやりたいことをするのに、誰も邪魔はしていない。止めるのはいつも自分であった過去を振り返りながら、ハートのあたたかな場所で、自分とチームをホールドしてきた。
人と本当につながることを何よりも望んでいたのは私。
それを止めていたのも私だった。

様々な流れの中で、11月かねてからご縁のあったお寺で古典フラを奉納させていただく機会を得た。そこは、地球の平和と大地の癒しを発信されている、大切に守られてきた土地だった。

木の下でチャンティングをはじめたその瞬間、風とともに銀杏や紅葉の葉っぱたちがはらはらと舞い落ちてきた。
私たちを包み込んだ緑と風のささやきの中で、どこからともなく〝ありがとう〟という響きが全身にこだました。

この場所に立っている自分を感じながら、いつも自然界の人々に、風のささやきに導かれてきたことを感じた。私を支えたそれらの存在。そして、そんな私と繋がってくれている仲間の存在をも。

人が生きて大地とつながるということ。
それは、自分のいのちを生きるということ。
きっと、誰もが本当は知っている源とつながること。

そこには、すべてのジャッジを超えた、ただ在るだけの自分という存在がいる。
その自分とつながる時、煌めくやわらかな風。
いつでも、内なる泉は、尽きることなく湧き出ている。
それと共に生きるのが、私の道。
いつでもここに戻って来れるのは、緑の存在や風のささやきがあるから。共に学び合う仲間の存在があるから。
本当にありがとう。

このエピソードの中で、あなたは何によって癒されたと思いますか? : ヒーリングセンターの風景・仲間の存在

 

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