この記事では、トラウマの原因となる人生の初期の出来事が、大人になってからの人生に影響を落として行くトラウマの仕組みについてお伝えしていきます。
自分の幸せは自分の責任、自分の不幸も自分の責任。
何をどう解釈していけばいいのかわからない人生の混迷期、この記事はきっとあなたの一筋の道しるべ、紐解き方のヒントとしてお使いいただけると思います。
目次
トラウマとは? (語源・意味)
トラウマは、もともとは単に「傷」を意味するギリシャ語でした。
それが今のような意味を持って使われるようになったのは、1917年、心理学者フロイトが、物理的な外傷が後遺症となるのと同様、過去の強い心理的な傷がその後も精神的な障害をもたらすことを『精神分析入門』において発表したのが最初です。
子どもの頃に肉体的生命の危機だと感じるような体験があった場合、私たちは、その出来事をありのまま受け入れることができず、その体験は、肉体的な感覚の体験とともに混乱した状態のまま凍りつきます。
そして、現在の人生の中でその幼い体験と何かしらの共時性(風景・色・匂い・人物・雰囲気・気候・空間・音・光など)を持つ同じような体験に出会うと、混乱状態が時を超えて再発動し、現実の世界にありながら過去の状況を肉体的に再体験している状態に陥るのです。
親子関係がトラウマになる理由
どれほど子どもを愛していても、子どものニーズに100%応えて叶えることができる大人はいません。
けれども子どもは、今現在の状況を把握する体験の記憶も、理解するという脳の機能も未発達なため、なぜ自分が母親と別れて(産まれて)いるのか? なぜ自分が思うように動けず、伝えられず、またわかってもらえないのかわからないという体験の中で、自分の限界を通して「自分とは何者なのか?」というアイデンティティーを確立してゆきます。
通常、子どもにとって一番最初の「わからない」という混乱の体験は、世話をする親を通して引き起こされます。
そして、このトラウマの原初の体験が親子関係のパターンの中で繰り返し反復され、やがて体型や性質、性格として次第に固定化されてゆくのです。
トラウマ感情により人間を成熟させてゆく仕組み
肉体は外からの刺激によって “自” と “他” の境界という区別を感じ、それによって神経が育ち、筋肉が形成されます。
この時に「わからない」という体験があると、その時に感じていた感情や感覚はその筋肉の収縮運動の中に刻印され、記憶として脳にそのままファイリングされます。
そしてこの刻印された感覚や感情は、同じような出来事を通して“解凍”されるまで、そのままその筋肉と記憶に保持されるのです。
このような記憶、そして体の中のしこりとしての感情のブロックは、体の中からリリースされることで初めて理解と気づきがもたらされ、それによりまた私たちは自分とは何者なのかをより深く知ることになります。
トラウマを通して、私たちは自分が忘れていた過去の無理解を理解へと変え、子どもの意識から大人の意識へと成熟してゆくのです。
トラウマを理解するために(発症年齢とその理由)
現在の生活様式において、人が幼少期に体験する出来事に大きな差はありません。
赤ちゃんは、この世に生まれ体が育ってゆくその過程で、日々の暮らしの中、日常生活に起こってくる出来事からさまざまな刺激を受けながら、人の暮らしに順応してゆきます。
その過程の中で誰もが避けて通れない出来事があります。
- 出産
- 母親との分離
- 授乳と受け取りという受容
- おむつやトイレットトレーニングへのストレス
- 離乳食への移行
- 行動の制限
- 兄弟姉妹による比較や親の態度によるえこひいきや裏切り
- 社会生活に順応・適応するための外的自己の構築
これらの出来事の中でより強化される体験を通して、私たちの中に、以下の5つの基本的な性格と性質が形成されます。
誰もが5つ全部の人格構造を併せ持ち、その複合体として一人一人違う複雑な性格構造が形作られてゆきます。
性質や性格だけにとどまらず、キャラクトロジー心理学協会では、さらに体型や生活環境病、将来の姿や予想されるべき老後や老い方・死に方といった統計データも取っています。
スキゾイド |
オーラル |
マゾキスト |
サイコパス |
リジット |
|
---|---|---|---|---|---|
発症年齢 | 胎児期~6ヶ月 | 生まれて~2歳 | 1歳半~3歳 | 3~5歳くらい | 4~5歳~思春期 |
傷となる 出来事 |
拒絶・敵意 | 欠乏・無視 | 過保護・過干渉 | 比較・裏切り | 感情感覚の抑制 |
抑圧された 感情 |
恐怖・怒り | 失望・絶望 | 憤怒・歓喜 | 屈辱・敗北感 | 嫌悪・恥 |
癒しの為に 必要な感覚 |
安心・安全 | 充足・満足 | 自由・スペース | 信頼・真実の愛 | 歓び・感じること |
スキゾイド(胎児期)ー嫌われた子ども
主に母親との関係性の中で「安心・安全」を感じる接触体験が少なかったり、あるいは求めては拒絶されるという体験があると、他者とハグすることや接触することが嫌いになり、あるいは人が近づくだけで怖い、また気持ち悪いと感じるようにもなります。
たとえば外向きのベビーカーに乗っているだけでも、赤ちゃん(幼い頃の私たちのことです)は人が怖く感じるようになります。お母さんのまなざしや温もりから遠く離れてしまうからです。
<スキゾイドディフェンスでいるとかかりやすい疾病>
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オーラル(乳児期)ー見捨てられた子ども
乳児期は常に誰かにお世話をされる必要のある存在ですが、どんなに子どもを愛している親でも、子どものニーズのすべてをすぐに満たすことはできません。
このことから赤ちゃんは、「自分には価値がない」という絶望と無力感に陥ります。自分に価値がないと誤解することで、自らのニーズよりも他者のニーズを満たすことの方が大事だとさらに誤解を深め、自分と他者という葛藤の中で、「私の欲しいものは手に入らない」と諦めてしまうようになります。
<オーラルディフェンスでいるとかかりやすい疾病>
うつ 胃腸障害 呼吸器系 筋無力症 自己免疫疾患 白血病 認知症 肺の病気
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マゾキスト(幼児期)ー過剰に愛された子ども
いかに親が子どもを愛していたとしても、厳しいコントロール下で育てられると、子どもの内面には、自分を制限する自己、厳しいジャッジメントを下すスーパーエゴが強く形成されてゆきます。
内側で響くジャッジメントの声はあらゆる方向に過剰に反応しているので、常に緊張状態が作り出されます。やがてこのジャッジメントの声に従うようになると、子どもは自分らしさを失い、次第に外側の他者へも厳しいジャッジの目を向けるようになります。
愛されているがゆえの過干渉という侵入に四六時中さらされることで、その子の本来の自己は、自分を守るために内側奥深くへと隠されていきます。
<マゾキストディフェンスでいるとかかりやすい疾病>
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サイコパス(反抗期)ー比べられ裏切られた子ども
親の愛を得るため期待に応えようとして子どもは頑張りますが、成果に対して正当な評価を得られないと、果てしなく幻想を求め嘘をつくようになります。
また、兄弟姉妹間、塾や習い事など他の子どもと比較される環境があると、自分が愛を選ぶことは常に争いを引き起こしてしまうという現実が繰り返し作り出されてゆくようになるのです。
このようにして子どもは、平和な生活より「特別な人にならなければ愛されない」という、自分と世界に対する誤解を持つようになります。
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リジット(生殖器期)ー完璧ないい子を求められた子ども
私たちが暮らしているこの社会規範の中に幼い子どもの魂を閉じ込めようとすると、子どもの自由や行動は当然制限されてゆきます。
子どもが自由に、「とても楽しい」と思うことをしている姿は、親の中に堪え難い感情を呼び起こします。
その感情を感じたくない親は、やってほしくないと自分が思うことをやらせまいと子どもに強要し、そのことが真の子どもらしさ、人間らしさの可能性を小さく閉じ込めてしまうことにつながるのです。
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トラウマを抱えたままでいるデメリット=感情的反応
トラウマにまつわる感情を感じることを恐れ感じないようにすると、現実の生活の中でその感情が上がってくる衝動の場面において「感情的反応(Emotional Reaction=ER)」が起こります。
こうして本来の感情の上に二次的的感情が上蓋のように乗り、本来の感情の抑圧や忘却といった感情の規制が引き起こされます。
けれどもこれは、今ここで起こっていることをありのまま受け止められず、常に過去の状況へと引き戻されている状態ですので、目の前の現実とは乖離しています。
このようにして、内面で起こっていることに対する私たちの混乱や誤解が、現実の人間関係において誤解や混乱を創造しているのです。
自分の内面に向かい合い、自分に起こっていることを真に理解し変えてゆかなければ、家族や恋人、友人との関係性は次第に平坦で味気ないものとなり、自分を成長させる仕事においてもうまくいかない出来事がただひたすら再創造されてゆくことになってしまうのです。
トラウマを抱えている人が陥りやすい症状
- フラッシュバックと悪夢
- 外傷体験に関連する刺激の回避や精神的な麻痺
- 常に「警戒」している状態(過覚醒)
- 現実に即していない激しい感情的反応
- すべてを理屈で割り切ろうとする思考型感情的反応
- 度を超えた加害者的攻撃性
- 意味不明なまでの被害者的自己否定・自己憐憫
- 感情の起伏が極端に少なく無関心・無感動
トラウマ症状による病気の場合と感情的反応からのディフェンスの違い
このように、現実生活のあちこちで感情的反応という防衛反応(ディフェンス)をそのままにしているということは、現実にうまくいかない出来事を作り続けていることと同義です。
その状態が長引けば長引くほど、不和や離婚、病気といった歓迎できない痛ましい現象となって目の前に展開されていきます。
感情的反応からのディフェンスによってもめまいや精神不安定のような体調不良、説明のつかない体の不調といった不定愁訴が起こり得ます。医学的処置が求められる病気である場合もあります。
ディフェンスの場合の特徴
- 現実の出来事による激しい感情反応
- 同じ行動を忌避しようとする心の動きや行動
- 同じところをぐるぐるとする思考
- ぐるぐる思考が続いた先の頭痛や胃の痛み
- 誰かから監視されている、批判されていると感じたりする
- 日曜日の夜や月曜日の朝に気分がどんよりするサラリーマン
- 医学的には説明のつかない気分の揺れや胸の痛みなど
- 嘘をつく
- 過呼吸
病気の場合の種類
- うつや躁うつ
- 統合失調症
- PTSD(心的外傷)
- ADHD
- 強迫性障害
- パニック障害
- 潔癖症
- 胃潰瘍
- 心臓病
- ぜんそくやアトピー
日本が抱える心の取り組みの問題点
千年に一度というIT革命が進む中、わたしたち人間の心はずっと置き去りになっています。
トラウマという言葉を検索すれば「克服・乗り越える」というワードはあれど、「癒す・変わる」というワードはでてきません。
心理学が統計学として発達してきた日本では、自殺者が先進国トップという不名誉な立場に立ち続け、それをどう解消していけばいいのかガイドラインすら見えてきていません。
心を癒してゆくには、明確な理論や確立されたさまざまなセラピースキル、そして何より人としてのあたたかなぬくもりや安心して存在できるコミュニティが必要なのです。
キャラクトロジー心理学協会では、「一人ひとりが本当の人生の創造に気づき、愛で一つにつながる世界の実現」を目指して、従来の心理学では癒せなかった領域への学びを通して理解を広めるべく、全国のカルチャースクールや病院でのカウンセリング、またボランティア活動をしながら、愛ある世界の実現に向けて活動を続けています。
まとめ
いかがでしたか?
トラウマをただそのままにしている不利益に気づいていただけたでしょうか?
人格構造学という、心理学の根幹を成すユング/フロイトから連なるライヒのモデルを元に日本人向けに臨床を通じて統計を取り発展させ、「どうすればトラウマを克服し人生を好転させられるのか」新たに構築したのがキャラクトロジー心理学です。
私たちは誰もが5つのタイプのすべてを持っていますが、特徴的な性質を常に2つか3つ、組み合わせて使っています。
その時々に起こってくる人生のイベントにより、キャラクトロジーが微妙に移り変わったり、トラウマを克服した後にはまったく違うキャラクターが表出してくることも、大変興味深い現象です。
私たちは常に変化していて、どのようにでも成熟し変わってゆける存在なのです。
人はなかなか一筋縄ではいかないもの。
あなたは今どのトラウマを秘めていますか?
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