【エントリーNo.039】
西村 みやび
作品タイトル : 暗闇の奥の明るい光
「もう…死にたい…。」
2年前の夏。人生のどん底だった。夫のモラハラが悪化したため、携帯電話だけを持って家を飛び出した。
「ここから飛び降りたら楽になるかな…。」
陸橋に身をゆだねたとき、ふと、「DV相談プラス」という電話相談のことを思い出した。
そこは、匿名で相談することができる。
「もしもし」
息も絶え絶えに話すと、電話の向こうからはとても優しそうな女性の声がした。
「もしもし。こんばんは。どうされましたか?」
その優しく温かい声に今まで心に溜まっていた思いがこみ上げて大粒の涙が頬を伝った。
私が話せるようになるまで、女性は「うん、うん」「つらかったね」「いいのよ、ゆっくりで」と声をかけつづけてくれていた。
その女性に、夫にされたことを一つ一つ話をした。「どうせお前なんかなんもできんくせに」と、仕事も、家計管理も、なにもさせてくれないこと。病院に行ったら、「大丈夫か?」ではなく「領収書は?」と領収書を集めることしか考えていないこと。友達と遊びに行く際のランチ代も1000円上限、行先と帰宅時間の報告義務があり、ひどい時は行先でのプランニングまで夫が介入してくること。冷蔵庫のものを勝手に食べたら怒鳴られること。洗濯機、お風呂も使用許可が必要なこと。「お前の変態は親譲りか」と罵られること。そして、極めつけは私が胃痙攣を起こしてうずくまっているところに暴言と暴力をふるったことが耐えきれず、私は病院帰りにそのまま家出をしたということ。
「そんな状況で、よく今まで耐えてきましたねぇ。いいのよ、泣いて。いっぱい泣いてください。」
「頭の中、旦那の『どうせ』って言葉がこだましてるんです。どうせ私は、家事も苦手で、仕事もできなくて、病気がちだから…死ぬしかないんです。」
「そんな旦那のために、あなたが死ぬことはないわよ。絶対に死んじゃダメ。約束してくれる?」
女性相談員さんは、何度も何度も私に念を押した。
「…はい。」
「仕事は、してるの?」
「してないんです。病気がちで、旦那にも止められてて。」
「…それは、旦那さんがあなたを病気に『させてる』可能性が高いわね。そんな状況なら無理もないですよ。あなたは、仕事以外で、好きなことはある?」
「…私、本当は…絵が描きたいんです」
「絵?」
「はい。絵を描くことが好きで。」
「素敵じゃない。あなたの絵、私も見てみたいわ。その絵を、もっとたくさんの人に見てもらいたいって気持ちはない?」
「あります。」
「なら、叶えましょう!!あなたならできる。その旦那さんのところに戻ると、今日は危険ね。
行くところはあるの?」
「ないんです…実家も、虐待家庭…毒親で。」
「今、いくら持ってるの?」
「1万円…くらいだと思います。」
「そしたら、安いビジネスホテルには泊まれるわね。夜も遅いから、今から探して、ゆっくり休んでくださいね」
私は何度も何度もお礼を言って、電話を切った。
ホテルを見つけて、部屋に入ると、私は計画表を書いた。
まず、自分の生活基盤になるアパートを見つけること。障害年金とアルバイトで生活の目途を立て、その傍ら絵を描こう。そう決めたのだった。
翌日、不動産屋に行き、夫の不在時に荷物をまとめて家を出た。
あれから私は制作を続け、ポートフォリオを制作した。ちょうど、知り合いの画家さんが百貨店のギャラリーのオーナーを紹介すると言ってくれて、ポートフォリオを片手に百貨店へと足を運んだ。すると、とんとん拍子に話がまとまり、今年の夏念願の個展を開くことができた。
はじめての個展にも関わらず、たくさんの人が見に来てくれた。たまたま立ち寄ってくれた方がオーダーをしてくださったお客様、入院中の奥さんを元気づけたいと作品を買っていったお客様、Instagramで私の作品を見てきてくださったお客様…。そして、最終日の終了間際、息を切らせた汗だくの女性がやってきた。手には、汗でしわしわになった私の事前告知広告。
「間に合って…よかった…」
女性はそう言って、作品を一点一点、丁寧に見て下さった。そして、一番高価な作品を、
「これ、頂くわ」
といってご購入下さったのだった。
その経験が、私の大きな自信になった。いつの間にか、「どうせ」という夫の幻聴は聴こえなくなっていた。代わりに、あの時の優しい電話相談員さんの「あなたならできる!」という言葉が常に私の心にあった。
どんなにつらいできごとがあっても、命を絶たなければ這い上がることができることを、私は身を持って体験した。「死にたい」その気持ちが抑えられなくなった時こそ、誰かにSOSを出して欲しい。私の文章を読んで、一人でも大切な命・心を救えたらと願っている。
このエピソードの中で、あなたは何によって癒されたと思いますか? : 電話相談員さんの温かい声、励ましの言葉
【作品応募者について】
どんな職種・お仕事をされていますか? : 画家














そもそもエッセンス(良いところ)の塊である私たちは、幼い頃のささいで偶発的なできごとや繰り返し体験するできごとを通して、自分のエッセンスを悪しきものと誤解してしまいます。残念ながらこの誤解は成長の過程で避けることのできないもので、ゆえに私たちの誰もが、違った体験から同じ傷を持ち、その強さや深さ、体験の内容の違いが人格となって現れます。ただ、ここで注意すべきなのは、現在の人格は「本来のエッセンスを悪しきものと誤解した」状態のものだということ。
私たちは誰しも、この世に生まれ育ち、大人になってから今までの全ての経験に基づいて現在の選択のすべてをおこなっていますが、「三つ子の魂百まで」のことわざ通り、さらにその根幹を成すのは子どもの頃の環境や体験です。
この世に生まれ、誰かを好きにならない人はいません。そして、好きになればなるほど悩むことや傷つくこと、腹の立つこと、悲しくなることも多くなるものです。なぜなら私たちは、恋する相手に幼い頃両親とのあいだに起こった満たされなかった体験を無意識に投影しているからなのです。
自分と自分以外の人を分ける目には見えない境界線、それをバウンダリーといいます。
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