ハートインタッチアワード2021
こころのレスキュー大賞ノミネート作品
【エントリー78】松田 はつみ(まつだ はつみ)
エピソード
思えば、ずっと一人で抱えてきた。
辛い、悲しい、苦しい、もう嫌だ、逃げ出したい。
何もできない自分。
できないのに、それを周りに知られるのが怖くて、認めたくなくて。
結婚して18年が経過した。入籍する時にはすでに主人はうつ病を患っていた。
毎日繰り返される「どうしたらいい?」「助けて」「怖いよ」「死にたい」の言葉たち。
当時の私は、このままでは主人が死んでしまう。何とか私が支えていかなければならない、そう強く感じていた。
しかし、主人からどうしたらいい?と懇願されても、どのように言ったら、主人にとって正解なのか?そんなことばかり考えていて、主人の気持ちに応えることができなかったのである。
幸い、信頼できる精神科医の先生やカウンセラーとの出会いにより、主人の病状は回復していった。
そして、ここ数年は「頼りにしてたのに、何もしてくれなかった。支えになってくれなかった。」「あんなに相談してたのに、全然答えてくれなかった。ずっと無視されてた。ずっと淋しい思いをしていた。」と、当時の私に対する非難の言葉を言われることになった。
私は自分にできることを精一杯してきただけなのに、やってきたことは何も見てもらえず、できなかったことばかりを指摘されて、私のしてきたことは何だったのだろうと、全てを否定された気持ちになっていった。
そのような関係の中、私自身の問題が大きくなり、主人に言いたい事が言えず、関係性がさらに悪化していった。カウンセリングも受けたが、どうしても幼少期の親との対決で納得できない部分があり、自分の深部まで届く事ができなかった。
一方、主人は自分の状態を良いものにするために、日々考え、見聞を広め成長を望み、チャレンジし続けていった。そこで出会ったのが、キャラクトロジー心理学である。
毎日、暗い顔で全く成長しない私を見かね、主人の計らいで、公開カウンセリングでAさんのサポートを受ける事になった。相談していくうちに、話をする私を真っ正面から、そのまま受け入れられている感覚になっていった。
「ずっと一人で、今まで誰にも気持ちをわかってもらえなかったのを感じました。」
ゆっくりと、丁寧に私の心の奥に届くその声が、私の辛く悲しい部分に触れているのに気づき、一緒に感じてもらっていると体感した。
「心に空気を送って、深く呼吸して、心をただ感じて」
初めて、癒されるとはどういう事なのか、身を以て感じる事ができたのである。
自分を愛するということ。ただ、ひたすらに自分を愛して、癒していく。
誰かに自分のことをわかってもらえたという感覚が、今も胸に暖かくしっかりと残っている。
Aさんと2回目の話をする機会を与えてもらった。
Aさんの言葉や声は、私を小さな子供の情景まで運んでくれた。
そこで気付いたのは、私はやはりわかってもらいたかったのである。
幼少期にこれはダメ、あれはダメ、閉ざされた世界の中で生きてきて、自分の思いを話すことを諦めていた。本当は自分の話を聞いて、わかってもらいたかったのに。
「大好きなお母さんに自分のことをわかってもらいたかったんだね。」
涙があふれ出た。
ずっと、違うと思っていた。きっと、傷つくのが怖くて見ないようにしていたのだと思う。何かを言うことで否定されて傷ついた体験があるから、今も反論されるのが怖いと思い、主人を目の前にすると、頭が真っ白になったり、言葉も出てこない。
そんな現象が、自分の中で起きていたことに気付き、どんどんハートが熱くなっていった。
その後、別のヒーラーの方ともセッションをして頂き、まだまだ入り口を踏み出したにすぎないが、自分に何が起きているのか、どうしてそのような感情になるのか、何故そのように考えてしまうのか、心の深部を探している最中である。
その中で、今までだったら、主人の表面上の言葉ばかり受け取っていたことも、ハートで動く部分に耳を傾ける事ができ、主人の心の痛みに触れる事ができた。
本当に、自分を癒していくのは難しい。
癒していくより速いスピードで、反応する出来事に直面してしまう。
しかし、Aさんに導かれてたどり着いた、心から安心できた場所に行き続けたい。そう願い、今日も自分を愛していくのである。
このエピソードの中で、あなたは何によって癒されたと思いますか? : ヒーラーさんの心からの寄り添い
どんな職種・お仕事をされていますか? : 介護福祉士・病院勤務
今回の応募は自薦/他薦ですか? : 他薦
他薦の場合はその方のお名前をご記入ください : 山本美穂子先生