ハートインタッチアワード

自分が変わる 周りが変わる 世界が変わる 大賞ノミネート 打田奈央

ハートインタッチアワード2020
「自分が変わる 周りが変わる 世界が変わる」大賞ノミネート作品

応募エピソードの資格 : HITヒーラー

打田 奈央

クライアントさんの成長とご自身の成長を綴ったレポート
「奈央ちゃん、今ちょっと話せる?」
そうLINEで連絡してきたのは、長年の友人Jだった。
このたった1通のLINEが、全てのキッカケとなった。
Aは、若者のための起業塾で代表をやっている。
私は、「いいよ、話せる」と一言返すと、私たちは久しぶりに電話でつながった。
聞くと、Aのスクールに通っている生徒さんの中に、精神的な病気で困っている人がいるらしい。
「俺たちも、出来るサポートはしたいんだけど、でもどうにも出来ないこともあってさ。奈央ちゃん、ヒーリングしてたよね?対応してもらえるかなぁ。」
不謹慎かもしれないけれど、私の胸は高鳴っていた。ずっと、病気の人のヒーリングをしたい!と思っていたから。そして、この連絡をもらった時、実は毎月継続的にヒーリングを受けてもらえるようなプランを、作ろうか迷っているところだったのもあって、タイミングに驚いた。
「私にできることをやる。」そんな決意を宣言するかのように、Aに引き受けることを伝え、後に私のクライアントさんとなる、Yくんを紹介してもらうことになった。

「初めまして。よろしくお願いします。」
LINEのメッセージのやり取りで挨拶をするなり、Yは持病の説明を始めた。「持ってる持病、お話しますね! アスペルガー、ADHD、非てんかん性発作…」
まるで自己紹介で趣味を説明するかのように、持っている持病や症状について説明するY。初回問診票に記入してもらうと、処方されている薬の数は軽く10種類を超えていた。
「多いな。笑」私が最初に思ったのはこれだった。今思うと、私自身、Yとどう接したらいいか分からなくて、「多いな」しか出て来なかったのかもしれない。
まだ1回もヒーリングをしていないのに、Yはすでに定期コースへの申し込みを決めていた。初回のヒーリング日程を決めて、その日を待った。

私にとって、初めての継続コースのお客さんで、初めての精神疾患を持ったクライアントさんだったこともあって、嬉しさと、初めましてのドキドキ感があったことを今でも覚えている。
「病気の人のエネルギーフィールドって、どんな感じなんだろう?」「薬めっちゃ飲んでるみたいだけど、これってなんの薬だろう。(調べながら…)うわっ、こんなに副作用たくさんあるの?!」本当に不謹慎なのだが、そんなことを考えたり調べたりしながら、当日までワクワクしていた。私で大丈夫なのかという不安がなかったわけではないが、好奇心が圧倒的に勝っていた。

当日、初めて電話で話す日が来た。
症状や病気について、今の現状を聞いてから、早速ヒーリングに入った。ヒーリングについて事前に説明してあったこともあって、「説明を聞くよりすぐにでも受けたい」がYのニーズだった。
ヒーリング中、最初は少し話をしていたのだけれど、途中から返事がなくなった。終わってから、「Yさん、終わりました〜」と声を何度かかけたけれど、返事がなかったので、「一旦切りますね。」と伝えて電話を切った。ヒーリングを受けて、眠たくなることはよくあることなので、あんまり気にしていなかったのだが、Yから「すみません、気絶してたみたいです」と連絡が来て、「気絶…?」と一瞬フリーズした。
私自身、Yとの体験ひとつひとつが新しいものだったのだと、振り返ってみて思う。ヒーリングを受けて、ボーっとするなんて、よくあることなのに、「気絶」と言われるだけで、「え、それまじ?」と、反応が起きた。彼の持っている病気に対する知識も乏しかった。てんかんと非てんかんの違いすら知らなかった。だから、「気絶」と言われた時、それが病気から来る症状だったのか、ヒーリングでぼーっとしただけなのか、はたまた薬の影響なのか…推測すら立たず、「ヒーリングを受けるとそういうことはよくありますが、こういう気絶はよくありますか?」と、本人に聞くしかなかった。「分からないことだらけ。」それがYとの初めてのヒーリングだった。

3回目のヒーリングの何日か前、「苦しいです。なんか軽くなる方法ありませんか?」と連絡が来た。突然の連絡にびっくりしながらも、頼られている自分の有用感を感じて、自分に対する気持ち悪さを感じた。Yは、とてもプライベートなことで悩んでいて、そうなったのは「自分の第六感で予知をして、だからその通りに動いた。けど心の奥底で引っかかっているものがあって、それに殺されそう」だと話していた。
私にもそういう時期があった。自分のイメージに巻き込まれ、それが自分だと思い込んでいた。そこから行動するも、「何か違う」という違和感がついて離れず、何が本当の自分なのか分からない辛さや孤独をずっと持っていた。
結局、3回目のヒーリング日程を前倒しにして、その日の夜にヒーリングをした。
クライアントとヒーラーは同じキズ同士で引き合っている。クライアントが病気であれ何であれ、ヒーラーが自分を癒し、自分を取り扱えるようになることが、クライアントのためになる。そのことは、相手が誰であっても変わらない。ヒーリングを学ぶクラスの中で、何度も聞いたセリフだったけれど、3回目にして、そんなことをより意識するようになった。

その後、Yからは何度も「今大丈夫ですか?」「助けてほしいです」と連絡が来た。初めのうちは、なんとしても力になりたいという私の先走る気持ちで、引き受けていた。だけど、何度も相談に乗るうちに、「助けて」というYのLINEに既読を付けたくなくなっていった。私とYの関係性が、共依存になってしまっていることに私は気がついていた。繋がりを感じられない、一緒にいる感覚が分からない、自分の感情が分からない、助けてほしい。ヒーリングをしながら、そんなYとどう繋がっていいか分からない、関わりたくないと思っている自分自身に気がついた。その時、誰かをサポートするために、まずサポートが必要だと感じていたのは私の方だったと気づき、私自身が自分のワークをした。今までの私は、自分のために自分のワークに取り組んできた。本当にこの人のためになるためには、私の何を見ればいいんだろう。そこに立ち戻り続け、自分のプロセスをクリアにしていった。いつも、Yのことを想い祈っていた。ある日のヒーリング中、Yが私にこう言った。
「奈央さん、いつもありがとう。ただそれが伝えたくなった。」繋がりが分からなかった、いつも孤独だと言っていたYが、いつの間にか「一緒にいる」を感じていた。嬉しくて、感動して、私もありがとうを伝えた。

そんな嬉しい状態が、次のヒーリングでも同じ状態か…と言われれば、NOだ。
数ヶ月、月に3回のヒーリングをしながらも、Yの症状も、何も改善していないように感じた。
Yのためにどうしたらいいのか?ずっと考えていたけれど、その「考え」が知識とスキルに偏っていった。「脳を再構築すれば…」とか、「この病気は体のここと関係がある…」とか、目の前の「その人」を見れなくなっていった。相変わらず続く「助けて」のLINEにも、「助けたくない」「依存してこないで!」「面倒くさい…」と思っている自分がいなくなったわけでもなかった。もちろん、出来ることをしたい気持ちや、助けになりたい気持ちがなくなったわけではなかったけれど、何か伝えようとしても、全然聞いてもらえず、「分からない」「ボーっとしてきた」と言うだけのYと、どう関わったらいいのか分からなかった。さらにこの時期、ヒーリング中の私の体は無感覚になることが多かった。一体何が起きているのか、何がトリガーとなって私は無感覚になるのか、自分の反応を見ようにも、掴みどころがなくてワークも滞っていった時期でもあった。
Yとの関係や、Yとの間に起きる自分の反応に、モヤモヤする時期が2ヶ月ほど続いたある時、Yから月に受ける回数を2回に減らしたいと言われた。心の中で、「だよね。」と思った。焦りもあった。でも私は、「わかったよ」と言うしかなかった。クライアントさんが離れていってしまうことを、私は恐れていた。
同じ時期、プライベートも上手くいっておらず、4年付き合った彼氏と別れるかもしれない修羅場にあった。
唯一の救いは、「何が起きているのか」をアダルトエゴの視点から俯瞰して見れる自分を持ち続けられたことだった。プロセスが煮詰まりきった頃、再受講中のヒーラークラスではケースプレゼンテーションで私の番が回ってきていた。ケースプレゼンテーションは、自分のヒーリングモニターさんについてプレゼンし、自分が困ったことなどをクライアントさんの代わりに自分自身がワークしていく貴重な時間。1年受講して、自分の番が来るのは1度だけだ。

「離れていくのが怖い」は、私とYが共通して持っている反応の一つだったし、私がYに対して、彼氏に対して、どちらにも持っている反応でもあった。ケースプレゼンテーションでは、モニターさんのことをワークするので、クライアントであるYの話をしたわけではない。だから、「離れていくのが怖い」が、このケースプレゼンテーション中に出てくるとは限らなかった。けれど、プレゼン中、私の体は、ヒーリング中と同じように無感覚になっていった。私は頭で何が起きているか理解しようとするのをやめ、その代わり、身を委ねることを選んだ。無感覚になっていく自分、上がってくる感情、プレゼン中一緒にいてくれるファシリテーターとの繋がり…。
結局、「離れていくのが怖い」に関わる、「好き・嫌い」がくっついている場所への理解だけでなく、赤ちゃんの頃に誤解したことを、自分が思っていたよりずっと深く理解し、本来もつコアスターエッセンスを体験する時間になった。
今だにあの体験が宝物なような感覚があるが、自分のためだけではなく、モニターさん、クライアントさんのためにという強い意図、想い、絆がそこになければ、私があのような深いワークが出来ていたか分からない。ケースプレゼンテーションの後、ワークで体験したことを実生活の中で統合していく中で、「私が本当にしたいことってなんだろうか」と自分と繋がり直す時間が増えていった。
ずーっとイライラしていたいだろうか?誰かのせいにし続けたいだろうか?自分がやりたいことの方へ自分を動かせているだろうか?クライアントさんとの関係性で、自分はどう在りたいだろうか?

頭で考えてもその答えは出てこない。けれどなぜ、こんなにも湧き出てくる「したい」が愛しいんだろう。
やりたい、体験したい、と感じていることを、一つひとつ丁寧に感じるようになっていくに連れて、一つひとつの「したい」に、自分の愛があったことに気がついていった。

Yとの関わりの中でももちろん、「私はどう在りたい?私はYとどう関わりたい?」と自分に戻り続けるようになれた。関わり方が変わったのが、自分でもわかった。
前は引き下がっていた私が、積極的に関わるようになった。分からなくても、困らなくなった。私の中の「分からない」が、相手を理解するためのポジティブなコミュニケーションに変わっていった。

そんな時、Yからいつものように、「今話がしたい」とLINEが来た。
私の気持ちは、「私に出来るサポートをしたい」と感じながら、Yと電話することにした。
「今日は特別ね。」と冗談まじりに、セッション外でサポートする自分を伝えた。Yはいつもの「分からない」「気絶してた」と言うことはなく、「僕、こうしたいと思ってるんだけど、今こんなことに困ってるんだ。どうしたらいいかな。」と相談してきた。私は本当にびっくりした。Yとこんなにしっかりした会話をしたことがなかった。こちらが何を言おうと、あんなに「分からない」ばっかりだったのに。私には、Yが自立したいと言っているように聞こえた。こんなことは初めてだった。Yが自分の感情に舵を取り始めた瞬間を見た気がした。30分ほど話す中で、「そうか、自分の感覚がこうなっている時、僕はこういう状態なんだね。」と理解していった。

その翌日に、Yからヒーリングの予約が入る。1ヶ月毎くらいのペースで、病状などを聞いていたが、その日 Yは、「薬、2/3くらい減ったんだよね。あと1/3くらい。今年中には飲まなくて良くなるかなあ。」と言った。もちろん、ヒーリングの効果だけではないと思うけれど、私のヒーリングが本当に役に立てているだろうか、と、天に祈る気持ちでヒーリングをし続けていた私にとっては、嬉しい報告だった。
その日のYは、悩んでいることがあった。ヒーリング中、その話を聞きながら、今まで何ヶ月にも渡ってYのヒーリングをしていて、私が気がついていることを伝えてみた。「あぁ、確かにそうかもしれない。」Yはそう言って、今までYの現実に起こっていた様々な出来事を思い出しながら、「あれも、これも、そうかぁ。これがトリガーになっていたんだね。」と、自分が自分を見捨てた瞬間の感覚を理解しているようだった。キャラクトロジーの「キ」の字も知らないYが、自分に起きていることを、自分で体験しながら理解していることに、私は驚いた。

不意に、Yはこう言った。
「今までこういう話しても、みんな気のせいじゃない?とか、気にしすぎだよって言って、ちゃんと聞いてくれなかったんだよね。だから、こんな深いところで寄り添ってくれたのも、奈央さんが初めて。いつもありがとう。」
私は嬉しくて、受け取るのが精一杯で、声が出なかった。
Yのことで、たくさん考え、たくさん調べ、たくさんサポートを求め、たくさんワークし、たくさん癒しを深めてきた。それでも何も変わらないと感じる日々があり、力不足を痛感し、胸を痛めた日々があった。「自分が変われば相手が変わる。」その可能性にかけて、自分のためだけでは歩いてこれなかった道を来た。そんな私にとって、Yの一言は最高の祝福だった。

ある人が言っていた。幸せとは、苦しみと苦しみの間にある瞬間のことだ、と。別の言い方をすれば、収縮と収縮の間にある拡張が幸せであり、それがバイオリズムなのだ、と。その苦しさやしんどさがあったのならば、これを拡張、幸せと呼ぶんだろう。この一瞬やってくる幸せのために、私はヒーリングをし続けるんだろう。

これは、8ヶ月24回に渡るヒーリングを通して、Yと私が歩んだ軌跡の記録。
これは、Yと私が、共に歩き続けてきたことへの祝福のための記録。
私たちの旅は、これからも続いていく。光へと。


(名前のイニシャルは本名と別のものを使用しています。)

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