一般社団法人 HITキャラクトロジー®心理学協会

バウンダリーの意味と親子や夫婦などによる人間関係を改善するための心理学(1)INFORMATION

   

 

この記事では、親子間や夫婦間などといった人間関係における問題がバウンダリーとどう関係しているのかについてお話ししてゆきます。

 

親子のバウンダリー問題

人間関係がうまくいっているとき、うまくいっていないとき、その鍵となっているのはバウンダリーです。バウンダリーが健全なところでは物事はうまくスムーズに流れ、一方、バウンダリーが不健全なところでは、トラブルや問題が必ず発生します。健全なバウンダリーを引くために、私たちは、“自分” と “他” をどのように見分けているか、そしてどこまでが自分の責任で、どこまでが相手の責任なのかの理解と認識を持つことが必要です。けれども、ほとんどの人にとってこの部分は曖昧で、明確な定義がされていません。そのために、自分が子どものときに親との関係性の中で習い覚えたバウンダリーの感覚をそのまま他人に対して自動的に適用してしまっているのです。それにより、人間関係の問題は深刻化してゆきます。

 

Dad pitying daughter. Sad child with father

 

毒親と子どものバウンダリー障害

関係性の中で密接なものというとまずは親と子の関係性が思いつきます。幼い子どもは、生き延びるために、自分と親との境界を混ぜ合わせて自分を外の刺激から守ろうとしますが、そのとき子どもは親の感情や価値観、意見をもそのままダイレクトに受け入れてしまいます。そして子どもが本来親から離れて自立し始める就学期になっても、親が変わらず子どもの価値観や感情に侵入し、かつ子どもがそれを受け入れ続けることで、その親子は不健全な関係性に固着することになります。この場合、どちらかが自分たちの関係性の不健全なバウンダリーを認識し、健全なバウンダリーを引かない限り、社会における他者との関係性にまでこのバウンダリーを適用しようとしてしまいます。ゆえに、本人の人間関係のみならず、会社やコミュニティの中で混乱が引き起こされてしまうこととなるのです。

 

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引きこもり問題

近年、子どもの引きこもりのみならず、“子ども部屋おじさん” などという言葉に代表される大人の引きこもりが増えています。日本における15歳〜64歳の引きこもり(=自宅に半年以上引きこもっている)総数は、なんと2019年3月の調査で100万人を超えているという内閣府の調査がありますが、引きこもりの原因とは、いったい何でしょうか。
キャラクトロジー的見地から見ると、引きこもり傾向を発症しやすいのはスキゾイドとマゾキストです。外の世界は怖くて危険であると誤解することで、パニック障害などを起こし外に出られなくなってしまったタイプの引きこもりはスキゾイドタイプに多く見られます。一方、外の世界に合わせいい子に生きてきた結果、自分の本当の気持ちを内側に閉じこめ続け、その圧縮されたような自分の内面に閉じこもり人との接触をしたくなくなったタイプの引きこもりはマゾキストタイプに強く表出します。ここに外側からの刺激が加わると他者に対する攻撃的な要素が発現し(スキゾイドベースのサイコパスかマゾキストベースのサイコパス)、それぞれ他者に対する対応が違います。

 

過干渉が社会不適合者を増殖させる

子どもが社会や外の世界を知りながらしだいに自立してゆくとき、自己責任と自由の両立を学びながら社会と関わり、成長してゆく必要があります。けれども、権威的な大人からの度を超えた(=個人のバウンダリーを超えた)干渉がつねに日常生活の中にある場合、大人の人格としての自己責任が見失われてしまいます。こうして、自分が混乱したときや自分の手にあまる事例にぶつかったとき、自分に対して過干渉に振る舞う大人にその問題を丸投げすることによって問題の解決をはかるという子ども時代を過ごせば過ごすほど、その人の社会適合率は下がります。その反対の度を超えた放任もまた、大人になってからもなお未熟な子どもの意識を持ち続け増大させる原因となりますが、我が子可愛さの過干渉は自己責任の取れない大人を育成することにつながるのです。

 

Mamas Ksschen

 

親子のバウンダリーの心理学的改善点

いくつになっても親は子どもを子どもとしてしか見ることができないのは事実です。けれども、子どもの幸せを本当に望むのなら、年齢別に、子どもとの関わり方を段階的に変えていかなければなりません。ここでは発達段階に応じた親の関わり方をピンポイントでお話しします。

乳幼児期・・・子どもを保護する時期
自立期・・・子どもがやりたいということを条件付きでもやらせてあげる時期
児童期・・・子どもの意思を尊重しながら、できているところとできていないところを見分け、できないところをサポートする時期
思春期・・・子どもの行動や言動にもう口を出したり干渉してはいけない時期。ただしサポートを求められたら応えること
青年期・・・一人の大人として自分の行動や言動に責任を持ち、失敗も痛みとともに受け入れることを見届ける時期

 

Young boy trying to make himself taller with watering can measuring his growth in height against a blackboard scale

 

境界線障害=ボーダーラインは親子の中で形作られる

バウンダリーには肉体的・感情的・精神的・エネルギー的・霊的なレベルがありますが、これらのバウンダリーに親がどれくらい日常的に侵入しているかの度合いによって、境界線障害の度合いが酷くなります。侵入されること、あるいは境界線が曖昧なことに対して子どもが違和感を感じることがなければ、その子は、他者との関係性においてもそれと同じように肉体的・感情的・精神的・エネルギー的・霊的に相手に入り込みます。なぜなら、自分が違和感がわからないのと同じように、他者が感じている不快感が理解できないからです。そのような状態では、あらゆるところで問題を起こすのは目に見えています。そしてこの傾向は、本人が「侵入される違和感」を真に体で感じ、「No」と感じるまで続きます。
どんなに頭で「これはしていいこと、これはしてはいけないこと」と見分けようとしても、体の感覚で「これは心地いい、これは心地悪い」ということを明確に感じ分けることができなければ、問題の根本的解決にはなりません。境界線障害が形作られた親子関係の場合、子ども側のみならず、親もまた、双方がバウンダリーの感覚を強めてゆく必要があります。

 

Little girl shows stop

 

いじめの発祥は家族関係に起因する

解決策の見えないいじめ問題は、いまや学校のみならず、職場やコミュニティの中などあらゆるところに見られます。この、どうやって解決してよいのかわからないように見えるいじめ問題は、実は、それぞれの人が子どもの頃に家族の中で経験した家族との在り方や自分の立場・役割と密接に結びついています。人間は誰しも子ども時代は無力で弱々しい立場にありますが、そのときに、子ども自身が自分が無力な被害者であると感じたり、また無力さや被害者の感覚を感じる、あるいは、家族の中で“加害者”と“被害者”の構図を目の当たりにする機会があると、それがその人にとっての「いじめの構図」の原型として潜在的にインプットされます。そして、学校や職場など、複数の人間関係が混在する場所で、自分の中に潜在化した“加害者”と“被害者”の構図に近い関係性が展開されたとき、たやすく子どもの意識に引き戻されるのです。常にどちらかであるわけではなく、被害者の立場になることもあれば、加害者の立場になることもあります。

子どもの意識から、外に起こってくる問題を見て解決しなければならないと感じると、子どものときに「そうしたかったけれど、やっぱりできなかった」という現実を再創造するにとどまってしまうため、新たないじめの構図を社会に作り出していきます。けれども、子どもの意識を癒し、大人の意識(アダルトエゴ)を育て、目の前に繰り広げられるできごとに、たとえ子どもの意識が反応したとしても大人の意識で対処対応し、自分自身をホールドしながら社会にとって、みんなにとってもっとも良い形で自己責任を取るというやり方へ移行するだけで、いじめ問題は深刻化せず収束の一途をたどる傾向があります。このいじめの構図をすべての人が理解し、自らの子どもの意識を癒しホールドするやり方を学ぶことが、いじめ問題を克服してゆける方法です。

 

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